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出会い系サイトのサクラバイトが逮捕された事例

世の中に星の数ほどあるアルバイトの求人。中には、出会い系サイトの運営者が「サクラ」を募っている場合もあります。

出会い系サイトのサクラは、高い時給や楽な仕事内容であるとPRし、一般人に悪事の一端を担わせる危険なもの。

中には「サクラ詐欺」に直接関わったとしてアルバイトが逮捕された事例もあり、おすすめできるアルバイトだとは言えません。

業者はどんな方法でアルバイトを募り、出会い系サイトにサクラを紛れ込ませているのでしょうか。
サクラバイトの実態に迫ります。

出会い系サイトでのバイト

出会い系サイトの業者が募るアルバイトの勤務形態は、在宅型や通勤型の2通り。

出会い系サイトと似た種類で、利用者とテレビ通話をしてお金を得る「ライブチャットのチャットレディ」のお仕事もあります。
それぞれの勤務形態や給料の仕組みはどのようになっているのでしょうか。

・多くはサクラ募集

そもそも「サクラ」とは、出会い系サイトの運営者側が用意した、一般人ではない架空の会員のことをさします。

出会い系サイトの場合、運営側はサクラとしてアルバイトを雇うのがほとんど。中には、SNSや匿名掲示板にリンクを流し、サイトに誘導する仕事もありますが、ほとんどの場合は異性、特に男性とやり取りするためのサクラを募っています。

・在宅型と通勤型

サクラのアルバイトには在宅型と通勤型の勤務形態があります。昔は事務所に集まって作業する「通勤型」のアルバイトがほとんどでした。

ただ、最近は在宅型のアルバイトも増加傾向。
ネット環境さえあれば場所を選ばずに作業できることが、在宅型のアルバイトが多くなった理由と言えるでしょう。

「通勤型」のアルバイトは、決められた時間に出社し、会社のパソコンを使ってユーザーとやり取りします。

従業員がメッセージ交換しているか、会社側がきちんと管理できることから給料は固定であることがほとんど。
時給は1000円程度です。

在宅型のアルバイトは業者側が仕事ぶりを直接見ることはできません。
そのため、歩合制の給料であることが一般的。異性とメッセージを送った回数に応じて給料が支払われます。

通勤型と在宅型、いずれの場合も携帯電話でやり取りするほか、パソコンにインストールされたサクラ専用のソフトを使ってメッセージを交わす場合もあります。

サクラは男性に興味を持ってもらうため、複数のキャラクターを演じて男性側に積極的にアプローチ。
多い場合では10人以上の男性とやり取りすることもあります。

・サクラを雇うのはメッセージ課金のサイト業者

月に決められた額を納める「定額課金型」の出会い系サイトであれば、どんなにメッセージを送っても料金はかからないため、アルバイトを雇う必要はさほどありません。

サクラを雇う業者が運営しているのは、メッセージを交わすごとに数十円から百円台の料金を支払う従量課金制のサイト、アプリであることがほとんどです。

・チャットレディー

出会い系サイトと類似しているのが「ライブチャット」です。
ライブチャットには「ライブチャットエンジェルライブ」「DXLIVE」などのアダルト系が多め。

非アダルト系では「DMMライブチャット」「ライブでゴーゴー」の評判が良く、ネット記事の人気ランキングで上位に位置しています。

ライブチャットの運営者と契約し、男性と直接会話する女性をさすのが「チャットレディ」。
「ガールズチャット」「チャットガール」「オペレーター」など、幅広い呼称があります。

チャットレディーが出会い系サイトと違うところは、男性と実際に会う前提でやり取りをしないこと。必ずしも結婚相手や恋人をつくることが目的ではなく、会話をして男性が満足できればそれでOKなんです。

ライブチャットでは、ネットを通じて男女がカメラ付き電話でやり取り。男性が会話した時間分の料金を全て支払う仕組みです。

業者にとっては、会話が続けば続くほど多くの利用料金を得られることから、やり取りする時間をなるべく引き延ばす必要があります。
時間を稼ぐために、女性はあの手この手を使って男性を引き留め、ポイント購入を促します。

Webカメラかスマホを使い、相手側の男性と互いの映像が映る環境でさえあれば場所を問わないことから、在宅型のチャットレディが多い傾向にあります。

・データ入力・高収入といった募集内容

出会い系サイトの業者、サクラを募集するとしても「出会い系サイトのサクラを募集します」という文言で募ってしまうと、応募は集まりません。

そもそも「サクラ」で募集しようとしても求人の掲載先から断られてしまいますよね。公に出す募集要項は、それだけではサクラだと気付かれないように細心の工夫が施されています。

ネットで検索すると、サクラバイトの紹介ページにすぐ行き着きます。サクラのアルバイトを募る場合は「データ入力」など、仕事の内容に具体性がないことが特徴。

服装や髪型が自由で、事務作業の経験がない人も歓迎する内容であることがほとんどです。

厳しい採用条件もなく「高収入、日払いOK」とうたう場合も多いですが、事務作業のアルバイトの時給はせいぜい2000円が相場。
これを上回るような高額のアルバイト募集があったとしても、信用しないほうがいいかもしれませんね。

サクラの求人は、昔は大手のアルバイト情報誌にも掲載されていました。ただ、アルバイト情報を掲載する前の会社の審査が厳しくなり、現在は掲載が少なくなっています。

ですから、業者はバナー広告や無料の求人サイトなどで募集するのが基本です。

怪しい会社だと疑いを持たれれば、インターネット上で話題になることもあるでしょう。
しかし、怪しい会社であるほど会社名をその都度変更することから、怪しいアルバイト先であることがなかなか表面化しないのが実情です。

仕事内容は「データ入力」とあるのに、Word、Excelなど、事務作業で欠かせないソフトの使用経験を問わないアルバイト募集は「怪しい」と思ったほうがいいかもしれません。

また、職業安定所や大手のアルバイト情報誌で情報収集すると、サクラバイトには引っかからないでしょう。

・実態を知ってすぐ辞める人が多い

それでも、間違って出会い系サイトのサクラとして応募し、採用されることはあるかもしれません。

応募者が「サクラ」として雇われたことは、面接の時や入社してから初めて知る人が多いようです。

また、サクラのアルバイトは採用されてもすぐに辞める人が多いといいます。一番大きな理由は「罪悪感」。
メッセージを1通送るごとに課金する「従量課金型」のマッチングサイトは、男性側がよりメッセージを送りたくなるような仕掛けが重要です。

サクラは自分の個人情報を偽ってでも、男性側が好意を持ち続けてくれるように工夫を続けます。
サクラのアルバイトをすぐに辞めてしまう人は、常にユーザーに対して自分を偽り続けるのが後ろめたくなるのでしょう。

また、ネットを介して生身の男性とリアルタイムで接するため、夜を徹して勤務する人もしばしばいます。

完全に昼夜が逆転した生活になり、体を壊して辞めるケースも後を絶ちません。

匿名掲示板では、週5日、10時間勤務で時給1000円のアルバイトが「メールオペレーター」として雇われ、1時間に40通のメールを送ることを研修期間中から強制されており「辞めたい」と相談しています。

・中身が男性のサクラも多い

出会い系サイトでサクラとして男性とメールを交わすことは誰にでもできます。
プロフィール写真さえ充実させておけば、誰がメッセージを送っても変わりはありません。

サクラのアルバイトは女性だけでなく男性も存在するんです。
中には、事務所に通うアルバイトの大多数が男性、というケースすらあります。

・うたい文句は「小遣い稼ぎができる!」

また、アルバイト以外にも、男性との交流を深めると同時にお金を得られるSNSとして登録者を募り、サクラ行為に加わらせる業者もいます。

出会い系サイト バイト

上の画像は、実際にあるサクラ募集のスクリーンショットです。
笑顔の女性をバックにし、自社SNSへの参加を促していますね。

このサイトは、男性ユーザーがサイトに支払ったお金をポイント換算しています。女性の報酬は、男性が支払った額の30%です。
「報酬の振り込み日が月2回で、1日に万単位のお金を稼ぐことができる」とうたっています。

サイトをよく見ると、報酬の通貨は円ではなくドル。「ボーナス得点がない」など誤字もあることから、外国資本の業者が巧みに協力者を募っている可能性があります。

サクラをやるのは危険

出会い系サイトでサクラのバイトをすると、体も心もボロボロになってしまいます。加えて、勤めている会社の出会い系サイトそのものが違法のものだった場合、会社の幹部だけではなく、アルバイトとして勤務した人も捜査対象となる恐れがあります。

・詐欺の共犯になる可能性

サクラとして働いている人は「アルバイトなら責任は発生しない」と思っていることでしょう。

でも、アルバイトにも責任はあるんです。例えば、コンビニのアルバイトに置き換えて考えてみましょう。

アルバイト店員が高校生に年齢確認をせずにタバコや酒を売った場合、責任を問われるのは店長や社員だけでしょうか?
当然、アルバイトにも責任が問われますよね。

たとえアルバイトであっても、出会い系サイトのサクラとして違法性を認識し、間接的に出会い系サイトの利用者からお金を巻き上げています。
自らの責任を少しでも認識していたことがわかれば、刑事責任から逃れることはできません。

・詐欺容疑での逮捕例は複数ある

警察は出会い系サイトから高額な支払いをし、女性と実際に会うことができずじまいになった後に「詐欺に遭ったかも…」と初めて認識。

気付いてからようやく警察に被害届けを出すため、警察の初期行動は遅れる傾向にあります。

それでも、業者が必ずしも罪から逃げることができるわけではありません。摘発例は複数あります。

・福岡の業者の出会い系サイト「出会いビービーズ」の場合

実際に、詐欺容疑でアルバイトが逮捕された例を挙げましょう。

2013年、サクラを雇って出会い系サイトを運営、男性会員から利用料金を詐取したとして、福岡の出会い系サイト運営会社の社長と元従業員が逮捕されました。

この業者が運営していたのは「出会いビービーズ」というサイトで、女性と男性がメッセージを交わすたびに、男性側が課金する仕組み。
この業者は05年から出会い系サイトの運営を始め、12万人の会員数を抱え、累計総額20億円の利益を上げていました。

ここで重要なのが、出会い系サイトの運営会社の幹部に加えてアルバイトも逮捕されていたことです。社長を含めた運営側3人が指示を出し、4人のアルバイトがサクラ役となって悪事に加わっていたようです。

・千葉県警が摘発した「e-フレンズ」の場合

2015年には、千葉県警が東京の業者を摘発しました。この業者はLINEのロゴなどを不正使用するなどし、自社のサイト「e-フレンズ」に誘導。

延べ270万人をサイトに誘導し、女性になりすました約30人のアルバイトの男性とやり取りさせました。合わせて3サイトを運用し、10年間で約66億円を得ています。

このサイトには女性が多数会員登録しており、女性が多く男女比に偏りがないとしていました。

しかし、女性ユーザーはたった1人だったことがわかっています。

男性のアルバイトがサクラとして紛れ込み、女性を装い男性とやり取りしていました。

社長はこれを認めた上で「男性がサクラをやったほうが男の気持ちがわかる」と供述していました。
この事件でも、サクラとして関わったアルバイト23人が書類送検されています。

・一人で数千万円をだまし取られたケースも

出会い系サイトの詐欺事件で、一人当たりの被害額は多くて数千万円にも及んでいます。

「サクラ被害者」は、銀行カードローンや「おまとめローン」、クレジットカードを使ったキャッシング、消費者金融を使ってなんとかお金をやりくりしていました。
しかし資金繰りが苦しくなり、消費者センターや警察に相談して事件が明るみに出ました。

検挙された例はいずれも全国に被害者がおり、数十人単位で被害届が出されていました。
このことから警察は摘発に動いたとみられます。

・詐欺罪について

サクラのアルバイトに問われる罪は、詐欺罪が第一に考えられます。具体的には女性を装って男性とメッセージを交わし、メッセージ送信、返信にかかる料金をだまし取った疑いをかけました。

サクラで女性を演じた男性のアルバイトも、料金をだまし取る役割を担っていますね。会社の経営陣と比べて役割の重要性は低いものの、罪に手を染めたことには変わりないと警察が判断しました。

また、LINEのロゴを不正使用して出会い系サイトに誘導した業者には商標法違反の容疑もかけられています。

出会い系サイトを運営する場合は、公安委員会の許可が必要。また警察はサイバー犯罪への対策を強化するため、IT関連企業との連携を進めています
。出会い系サイトに女性がおらず、サクラばかりであることが立証されれば、摘発の可能性は高くなるでしょう。

・損害賠償の連帯責任を負わされることも

また、アルバイトが加担した詐欺行為に対する罰は、刑事罰だけにとどまりません。
経営者に加えてアルバイトも連帯責任で民事訴訟にかける被害者もいます。

労働力としてアルバイトを使った運営会社の幹部の責任が一番重いことは確かですが、実際にサクラとして「実行犯」になったのはアルバイト。詐欺行為に加わったアルバイトの責任も決して軽いものではありません。

まとめ

アルバイト情報誌やサイトで、明らかに「サクラのバイトだ」とわかる求人は少なくなってきました。

また、かつては性犯罪や詐欺など、犯罪行為の温床となっていた出会い系サイト業界もクリーンなものに変化していて、信頼できるサイトも増えてきました。

それでも、あの手この手を使ってサクラを雇い、不法行為に精を出す悪徳業者が後を絶たないのが現状。
サクラバイトに出くわしたとしても犯罪に手を染めないよう、一人ひとりが高い意識を持つ必要がありそうです。

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